老犬が震える・震えが止まらないときの原因と対処法|不安・寒さ・病気の見分け方

体を震わせる老犬を毛布で優しく包む飼い主のイメージ写真 老犬ケア

はじめに

高齢犬が急に震え始めたとき、飼い主さんは驚いてしまうのではないでしょうか。

真っ先に思いつくのは「寒いのかな?」「怖がっているのかな?」という理由かもしれません。

けれど、老犬の震えには 痛みや病気のサイン が隠れていることも少なくありません。

震えの原因を知り、愛犬のつらさに早く気づいてあげられるように、飼い主さんが知っておきたいポイントをまとめました。

老犬の震えには3つのタイプがある

老犬が震える理由は、主に次の3つに分けられます。

  • 生理的な震え(老化・筋力低下・温度変化)
  • 精神的な震え(不安・緊張・恐怖)
  • 病的な震え(体の異常・病気)

「一時的だから大丈夫」と見過ごさず、どんなときに・どんな震え方をしているのかを観察することが大切です。

高齢犬が震える原因① 生理的な震え

主な原因

年齢を重ねると筋力が落ち、体を支える力が弱くなります。

また、筋肉は体温を保つ働きもあるため、筋肉量が減ると体温も下がり、震えやすくなります。

  • 筋力の低下:立ったり座ったりするときに足腰が震える
  • 温度変化:冷えやすく、気温が下がると震える
  • 踏ん張る動作:排泄や食事時などに力を入れたときに震える

対処法

  • 無理のない範囲でお散歩を続け、太ももの筋肉を意識して動かす
  • 緩やかな坂道を歩く、地面の異なる場所を歩くなどの軽い運動を
  • たんぱく質をしっかり摂れる食事を意識する(腎臓に不安がある場合は獣医師に相談)
  • 室内では急な温度差を避け、滑り止めマットを敷いて安心して踏ん張れる環境にする

💡 ワンポイント

冬だけでなく、夏の冷房による冷えにも注意が必要です。

高齢犬が震える原因② 精神的な震え

主な原因

老犬は若いころよりもストレスを感じやすくなります。

聴覚や視覚が衰え、ちょっとした刺激にも不安や恐怖を感じて震えることがあります。

  • 環境の変化(引っ越し・模様替え・来客)
  • 飼い主と離れることへの不安(留守番や夜間)
  • 雷・花火・掃除機などの音

対処法

  • 飼い主のそばで安心できる場所を作る(クレート・毛布など)
  • 「大丈夫だよ」とやさしい声で話しかける
  • 不安を感じる音や環境をできるだけ避ける
  • 動物病院や入院時は、家のにおいがついたタオルを一緒に持たせる

💡 飼い主さんの寄り添いが何よりの安心

触れ合い・声かけ・いつもの匂い、それが老犬にとっての「安心」です。

高齢犬が震える原因③ 病的な震え

主な原因

体のどこかに不調があると、痛みや違和感から震えることがあります。

とくに、次のような病気や症状が関係していることもあります。

  • 関節や筋肉の痛み:関節炎、椎間板ヘルニアなど
  • 内臓の不調:胃腸炎、膵炎、肝臓や腎臓の疾患
  • 神経系の異常:てんかん、脳炎、水頭症など
  • ホルモンや代謝の異常:甲状腺機能低下症、クッシング症候群、低血糖
  • 中毒症状:誤食による中毒で痛みや吐き気が出ている場合も

対処法

  • 「震え+食欲不振」「震え+歩き方の異常」「震え+嘔吐」などの組み合わせは要注意
  • 既往歴がある犬は、再発や悪化の可能性も考える
  • 震えが長引く、呼吸が荒い、全身がガクガクしている場合はすぐ受診を

💡 観察が最大のケア

普段の様子を知っているのは飼い主さんだけ。

ちょっとした変化もメモや動画で残しておくと診断の助けになります。

すぐに受診が必要な震えのチェックリスト

状況チェック項目対応の目安
いつ(When)繰り返し震える・頻繁に起こる🩺 病的の可能性
どこで(Where)家でも外でも変わらず震える🩺 継続する場合は受診
どこが(Which part)足・頭・全身など特定の部位が震える🩺 痛みの可能性あり
どのように(How)食欲低下・呼吸が荒い・意識がぼんやり🚨 すぐ動物病院へ

💡 注意

意識がない、全身のけいれんがある、呼吸が速い場合は「てんかん」など重篤な病気の可能性もあります。

動画で記録し、できるだけ早く病院で見せましょう。

家でできるケアと見守り方

  • 室温は 25℃前後 を目安に保つ
  • 日光浴や軽い運動で体温とリズムを整える
  • 水分をしっかり摂れるように工夫する
  • リラックスできる時間を意識的につくる

💡 ちょっとした触れ合いも薬になります

ブラッシングやマッサージは血行を促進し、安心感も与えます。

🐾 まとめ|震えは老犬からの小さなサイン

震えは、老犬からの「何かおかしいよ」というサインです。

寒さや不安のこともあれば、病気の始まりのこともあります。

「年のせいだから」と決めつけず、いつもと違う様子を見逃さずに、早めの気づきで守ってあげましょう。

あたたかく見守りながら、愛犬が穏やかに過ごせる時間を一緒に育んでください。

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