はじめに
年齢を重ねると、足腰が弱くなり、寝ている時間が長くなる老犬が増えてきます。
「寝たきりになったら、どうお世話をしたらいいんだろう?」
そんな不安を抱く飼い主さんも多いのではないでしょうか。
寝たきり介護で一番注意したいのが床ずれ(褥瘡)。
一度できてしまうと治りにくく、痛みや感染の原因にもなります。
この記事では、寝たきりの老犬を快適に支えるための環境づくりと、床ずれを防ぐケア方法をわかりやすく紹介します。
床ずれとは?
床ずれは、体の一部に長時間圧力がかかることで血流が悪くなり、皮膚や筋肉が傷ついてしまう状態です。
特に寝たきりの犬では、同じ姿勢が続くことでできやすくなります。
🐾 床ずれができやすい部位
- 肩や肩甲骨のあたり
- 腰やお尻
- かかと、足首
- 顎の下や頬の部分
これらの部位は骨が出っ張っており、圧力がかかりやすいため、こまめなケアが必要です。
床ずれを防ぐベッドと環境づくり
床ずれ予防の第一歩は、体をやさしく支える寝床の工夫です。
ベッド選びのポイント
- 抜け毛がつきにくく、掃除しやすい素材
- 通気性がよく、ムレにくい構造
- 体重や体の大きさに合った厚み
- 夏は通気性、冬は保温性のあるものを選ぶ
💡 豆知識:
体圧を分散させる低反発マットや、介護用ベッドもおすすめ。
「体が沈み込みすぎず、軽く押すと反発する」くらいが理想です。
寝たきり介護の基本ケア
① 体位を変える(2〜3時間おき)
同じ体勢が続くと血流が滞るため、2〜3時間おきに体の向きを変えることが大切です。
体をそっと抱き上げ、反対側へゆっくり転がすようにします。
動かすときは「よいしょ」「こっち向こうね」と声をかけながら行いましょう。
② 体を起こす
寝たままでは肺の機能が低下しやすいため、肩を支えて体を少し起こす姿勢を取らせてあげます。
短時間でも上体を起こすことで、呼吸が楽になり、気分転換にもなります。
③ 立たせる練習
抱っこして立たせるだけでも、関節を動かすリハビリになります。
後ろ足が弱っている場合は、補助ハーネスを使うと安心です。
床ずれの兆候があるとき
皮膚が赤くなっていたり、毛が薄くなっている部分があれば、初期の床ずれの可能性があります。
早期なら、圧を分散させるクッションを使うことで進行を防げます。
クッションの活用法
- ドーナツ型クッションで圧が集中しないようにする
- 両側に丸めたタオルを挟んで姿勢を安定させる
- クッションの位置を1日数回ずらして調整
床ずれができてしまったとき
床ずれが進行すると、皮膚の奥まで傷が広がり、痛みや感染のリスクが高まります。
自己判断せず、必ず動物病院で処置を受けるようにしましょう。
治療では、傷の状態に応じて消毒や軟膏の塗布、ガーゼ交換などが行われます。
清潔なガーゼで覆い、乾燥や汚れを防ぐことが大切です。
🏥 受診の目安
- 赤みやただれが2日以上続く
- 皮膚から滲出液(汁)が出ている
- 愛犬が患部を気にして舐める
早めに気づいて対処することで、回復も早くなります。
飼い主さんができる日常ケア
- 皮膚を清潔に保ち、毎日優しく拭く
- おむつ交換時に皮膚の状態をチェック
- 栄養バランスのとれた食事と水分補給を忘れずに
- なでたり話しかけたりして、安心感を与える
寝たきりの時間が長くなっても、声かけやスキンシップが何よりの“心のケア”になります
まとめ|「動かす」「支える」「見守る」が3本柱
老犬の寝たきり介護では、「動かす」「支える」「見守る」の3つを意識することで、快適に過ごせます。
床ずれを防ぐ工夫と、飼い主さんの優しい手のひらが、老犬にとって何よりの安心です。
焦らず、ゆっくりと。
今日も穏やかな時間を一緒に過ごしましょう。
